オバウェのキラキンちゃんがアピール特化だったこと
前提として。
最早レポートでも何でもありません。わたしが個人的にオバウェのキラキンちゃんのここが!こう!すきだった!だけ!っていうお話です。
オレンジの髪が跳ねると、自然と目がその色を追った。
場数を踏んだ俳優さん。そんな第一印象が、大平くんにはあった。通る声。多少早口になっても、大きく張り上げた台詞であっても、耳に入ってくる声量に張りがある。
某刀の舞台で活躍されている方だという前情報しか持っておらず、あの小柄な体躯から湧き出すようなパワーに驚いて、納得して。焦る演技のときは噛むこともあったけれど、年齢だけではなく、純粋な『場数』が彼の動きと声に現れていたように思う。
まず、疑問だった。アニメで描かれていないキラキンの姿を表現するにはどうするか?
短いテンプレートなプロフィールを組み立てたって、板の上に立つ彼らを形成するにはあまりにも足りなかったであろう情報。いろんな方面で散りばめられた、ほかの10人よりも輪郭がおぼろげなキャラクターを、オバウェの4人はどう拾っていったのか。
シアターのストーリーは、その中心、軸にキラキンの4人がいた。中途半端な構成だけではきっとグダグダになっていたようなお話をグッと固めたのは、間違いなくキラキンだった。
(重ねての宣言だがレポは一通り済ませてしまったので、開き直ってこういうところがすきだった!と偏った感想を書き殴ることにする)
明謙ちゃんが張り上げる声。パッと振り向いた先へ観客の視線も一緒に向けさせる誘い方。メインで喋っているメンバーの後ろ、似通った動きをしない引き出しの多さ。パフォーマンスでも同様に、「煽り方」を知っている彼の動作は大きかった。
わたしのだいすきな、身体が小さめなアイドルもよく言っていた。「体が小さいから、めいっぱいオーバーに踊る。そうしたら目立つでしょ」と。
激しい動きをネタにされることもあるんだけど、それはひとつの主張であり、わたしたち観客からも見つけやすい。またああして踊ってる、なんてね。個性になる動きは強い。
と、ここまで書いておいて、大平くんは決してオーバーではなかった。自分が自分が、というパフォーマンスは一切しない。明謙ちゃんらしく優しく、だけどあの鍛えられた筋肉でのターンやステップが男らしさを魅せていて、終盤でも変わらない声量はこうした普段の積み重ねから来ているのだろうと思った。
ライブでもまた、彼は頭一つ飛び抜けるくらいに「煽り方」を熟知しているかのようで。普段アイドルのコンサートに通うわたしが口をぽかんと開けてしまったのが、明謙ちゃんとしてステージで踊る彼がジャケットの肩をズラしたとき(ありきたりだって?いえいえそれがポイント高いんです)、それからウィンクの数(あんまり上手じゃないって?いえいえそこもポイント高いんですもっとやって)、メンバー同士のボディタッチ(群を抜いて多かったありがとうございました)、至近距離での目配せ(これも重要だよね、ちゃんと見て歌ってる!!!ってなるよね)。
「真面目な話しますね」と前置きした彼が舞台で司会を勝ち取った26時間テレビについて話し始めたとき、不動明謙が居た。確かに不動明謙が、そこに立っていると思わせた。
マイクの調子が悪くなった剛士(何回も言うけどシアターでは音響関連すべて最悪だったからね)へ咄嗟に駆け寄り自分のヘッドセットを向けた場面もそう。
やはり場数か。そこなのか。
なんて子なんだ大平峻也…さん。最早くん付けではなくさん付けしたくなる勢いで、彼の臨機応変な動きは強かった。
少し前に気持ち悪い個人的思考な合いの手が入ったが、彼が繰り出したアピールスキルのどれもこれもみんなすきに決まっているのではなかろうか。自担が、推しているアイドルが、だいすきな曲を歌いながら踊りながら楽しそうにあのステージでわちゃわちゃしているなんて。
7割?いやいや8割方嬉々として声をあげるだろう。あの東京ドームですら黄色い声で割れそうになるんだから。地響き地響き。
ほんとうに大平峻也くんという人が、俳優さんが、自らのなかにあるアイドル像と研究してくれたであろうアイドル像を掛け合わせてくれたことに感謝したい。
そうそう!それです!それなんですよオタクが求めてるのは!!!(怒られそうだからそうじゃないオタクも居ます、と付け加えておきます。)
と諸手を挙げてからあのZeppの固いコンクリートの地面に頭をぶつけて土下座したいほどのアピールだった。
そしてそれはキラキン4人全員が「ファンサービス」に特化しているユニットであると見せ付けてくれたようでもある。
ステージ下に設置されたローアングルのカメラに向かい、4人が重なり寝転んだ。先輩アイドルたちがそれを上から見て驚く。笑う。「えっ、なにしてんの!?」という顔をする。その流れもまた面白かったのだけれど、それよりもほら、これですこれ。大事なことだからもう一回言いますけども、それなんですよオタクが求めてるのは!!!!!!
(怒られそうだからそうじゃないオタクも居ます、と以下略)
大平くんに引っ張られるようになのか、それとも元々彼ら全員に「見せ方」への拘りがあったのか。
遙日を演じた滝澤くんは、別舞台からちらりと見ていた俳優さんだった。何度も何度も考える方なのだと知っていて、時にはそれが重たく自分にのし掛かり、圧がかかりすぎていることもあって。
若いのに出来た子だ。え、まだそんな年齢?その腹筋で?そのバキバキの腹筋で!?
……というのは半分冗談で。滝澤くんの「考える」という部分に重きを置いているのを、真面目という言葉だけで片付けたくないのだけれど、頑張り屋さんというありふれた言葉を加えてもまだいまいち物足りない。
以前彼を観た2.5次元の舞台で、ある声優本人が自らの役を演じていた。誰にも渡したくない、自分以外の誰にも演じさせたくないと、原作のアニメに並々ならぬ感情を抱いていた声優さんが、滝澤くんのことをこう言っていた。「尊敬している」と。
滝澤くんもまた、その人の舞台に対する想いを知っていて、見ていて。役名を貰い板に立っていた彼が、その人のアンサンブルとしてバックダンサーを務めた程に、お互いの姿勢を認め合っていた。
件の声優さんがわたしの推しというのもあって、滝澤くんには甘めなフィルターをかけてしまうところもあるのかも知れないけど、なにが良かったって……腹筋とリズム感、それから瞬発力。
彼の刻むリズムがファンの手拍子と重なる。彼がキラキンのリズムを作る。
明謙ちゃんが煽る、負けじと遙日が手を伸ばす。体幹がしっかりしているからこそばっちりと決まるポーズも、ただ足を動かすだけのステップも、どれもが目立つ、際立っている。
とある曲で腰を回す振り付けは、滝澤くんの眩しさでセクシーさを相殺してしまっていたけれど、これも次見たら判らない。もしかしたら死人が出るかもしれない。
(その前にオバウェTHRIVEが腰を回した時点で死人が出そうな気もするが、それは別で想像したい。)
終始動き続け、アンコールでも、ダブルアンコールでも、疲れた様子なんてカケラも見せなかった。
若さか。年齢か。10代か。これからもっともっと、彼の遙日は眩しさを増すと思う。まだまだ伸びていく進行方向。留まらない進化。
剛士に課せられた壁ドン罰ゲームの相手役へ我先に!と立候補し、口をきゅっとして指を組み、ライトに照らされた瞳がきゅるっきゅるに光っていた双子の弟。
トムクールズをトムク◯ーズとほんとうのお名前で呼んでしまった焦りも、唯月にはたかれたお尻を押さえながら複雑な顔をするのも、永パラで蹴り上げた足で軽々と誰よりも高く飛んでいたことも。
考えて考えて、たくさん考えて、これだと思った彼なりの精一杯の上にできた遙日だったからこそ見えたものだったのかと思うと、可愛らしくて仕方ない。
そんな姿をすぐ傍で見つめていた大海くんは、公演を重ねるたびに新しい一面を見せてくれた。
と、いうのも語弊があるかも知れない。
大海くん。おみちゃん。不思議ちゃん。彼は楽屋で唐突にそこそこ長い時間をかけて叫ぶような子です。という説明文に「そうなんだ〜〜」と頷ける人がどれくらい居るだろうか。だがそんな子だ。少なくとも、唯月を演じた彼が初見のわたしはおみちゃんのツイッターを拝見して驚いた。アカウントの名前を二度見したし、オバウェの公式サイトでキャスト欄も確認してきた。え、あれ?この子だよね?この子が唯月、唯月はこの子、だよね?と。同じことしたってひとハイ手を挙げてください、そしてわたしと頷き合おう。うん。
大海くん。おみちゃん。不思議ちゃん。文字の羅列がとても多い子で、斜め上の創作ストーリーを文字数オーバーで連載するような子で(140字では彼のパッションは収まらないのである)、電車を間違え自転車の鍵を失くし引きずって帰る一部始終をツイッターとオバウェキラキンのLINEに報告するような子で、そしてそのLINEは最終的に既読スルーされるような子で。(愛です、愛)
「僕のツイッターがうるさいと言われます!ツイッターは音声機能があったでしょうか!?それともこの文自体がうるさいということでしょうか!?」みたいなことを書いてしまうキラキンの最年長お兄ちゃんです。
という加筆された説明文にも、「そうなんだ〜〜」と素直に頷ける人も早々居ないとは思うが、そんなエキセントリックな彼が放つ唯月としての声と視線はとても優しかった。
とろん、と落ちた瞳はひとつ間を置いてからゆるりと動く。薄めの唇から放つ声、けれど掻き消されることもなくスッと馴染む。4人のなかでは大人しいと分類されるであろう唯月を、柔らかく演じていたおみちゃん。
シアターの借り物競走でまさかのTカード探し出せ命令を引き当てたときは「…………いる?」と半ば本気で肩を落として眉を八の字にしていたのがだいぶ可愛かったおみちゃん。
遙日のお尻をぺちん、とはたく……いや、結構がっしり殴ってたおみちゃん。滝澤くんの声が真面目に痛いのだと言うように引き攣ったトーンだったのは演技かそれともホンモノか。
と、それはさておき。その唯月の目はお兄ちゃんの目になっていて、まっすぐまっすぐ遙日を見つめていた。静かに凛と。おぉ、お上手。ぱちぱちと心の中で拍手を送った。
それから彼。回し蹴りがとてつもなく美しい。劇中劇。学ランを着たおみちゃんがくるんっと舞って足を回す。なんと!きれい!美しい!!
なかなか難しいんだよ回し蹴りって。一度コツ覚えてしまえば楽なんだけど。ブレずにキレイな円を描いていた回し蹴り。
円盤になったら、曲中は一転してハイパースマイルを振りまいてくれるアイドルな面を披露してくれるところも含め、ぜひ注目して頂きたい。
昔からファンだという方に教えてもらったのが、彼は元々の地声は低めだそうで。唯月のやさしくてやわらかい声をだすのも大変だったろうけど、よくやってのけたなぁと思う。
少し脱線してしまうが、ほかのメンバーも感心する方々が多かった。
あしゅくんを演じた三谷くん、リーダーを演じた田口くん、モモたすを演じたつばさくん、健十くんを演じた富くんも、千綿くんの龍広くんボイスも。岸本くんのがなる声だって、剛士に近づけるために何度も重ねたレッスンや稽古の賜物なのだろう。
「たかが声だ」と言う。「たかが声優の声真似」だと。
ううん、そうじゃない。たかが声、されど声。
聞かなければ寄せられない。聴かなければ似せられない。一貫してアイドルを、B-PROJECTを貫いた彼らが出した、魅せてくれた表現方法だから。
泣きたくても我慢するしかなかった。声を詰まらせて耐え抜いた。だってアイドルだから。B-PROJECTだから。これが最後じゃないから、終わりではないから、演者としてはこれが最後なのに、「自分」としては泣けなかった。ライブのラストであっても。
川上くんは苦しそうだった。ほんとうに泣きそうで、目もあかくて、ぐっと詰まらせた声が震えていて。
もうあとひとつ瞬きをしたら、目から涙がこぼれるだろうと見ていたけど、泣かなかった。耐えていた。
次のメンバーが喋るターンになっても、彼は何度か鼻をすすって、だけどすぐに口角を上げて。キリッとした表情、すこし寂しそうな笑顔。
大きな身体、高い身長。低めの声。クールな位置付けにある弥勒を、けれどほんとうはメンバー想いで、3人がだいすきで、明謙ちゃんのことをとてもたいせつにしていて、今立っている場所よりもまだもっと上に登っていけるのだと信じてやまない弥勒にしてくれていた川上くん。
ライブでグループ曲のトップバッターを務めた際、弥勒がタイトルコールして始まる極上フィクション。(なんて選曲なんだと思ったよ、このまま崩れちゃおうかと思ったよ、ほんとうにありがとう演出様……!)
拝みながらスタートした低音ボイス。一気にキラキンの色に変化したZeppの会場。
長い手足はそれだけで武器になる。ワビサビ手裏剣(知らない人は円盤見てね)を投げる振りも、なめらかに舞う足運びも、キラキラを振りまく両腕もどれも豪快だった。
大平くんとはまた違う彼の魅せ方は、まるで剣を振るう様に勇ましくて。
でも、素顔は関西生まれの粋なお兄ちゃん、舞台公演のカテコでもほかの子たちの挨拶で早くもじわっと泣きそうになってしまう涙脆いひと。ネタで発言したであろうことを拾ったオバウェメンバーに実際にうま◯棒を差し入れちゃう。背がみんなより高いから、小柄な子とのツーショットで屈んじゃう。バトミントン強すぎて笑……えない。(一瞬バトミントンのラケットがテニスのラケットに見えたよね)
明謙ちゃんが責められる形になったとき、遙日といっしょに先輩たちに食ってかかろうとした演技と、悔しそうに眉間を寄せる表情と、「ありがとね」と見上げてくる明謙ちゃんに返す視線と。さらりと言い放つ一辺倒になるのかと思いきや、それだけじゃないぞと垣間見える優しさがあった。
お見送り時、両手でヒラヒラと手を振る可愛いところもあって、軽々と明謙ちゃんをお姫様抱っこできちゃうパワーもあって。
ここはほんとうに幼馴染最高…!とさせてくれた、可愛いしかなかった。かわいい。かわいい。…かわいい。(しつこい)
ちなみに川上くんもまたおなかがすごいことになってるので…それからTシャツ着た時の三角筋と上腕三頭筋が激しいことになってるのでここも要チェックですよ奥様。長い腕でキラキン3人とも抱え込めちゃうのも最高だからもっとやってほしかった、カメラ割り期待してるからね円盤よ……。
もし次があったなら、「ダメ!ダメ!」で宙に上げた両手をばってんの形にする振りをみんな覚えていて欲しい。
「キラキラ〜」からの「スマイルー!」に全力で声を張り上げて欲しい。
ガオーのポーズや恥ずかしいセリフを臆することもなく完璧に言い放つ4人に崩れ落ちる準備をして欲しい。
明謙ちゃんが披露する全力アイドルなコール&レスポンスについていって欲しい。
ペンライトを持つ手のひらが汗ばむくらいに、喉が潰れてしまうくらいに、オバウェのキラキンが連続で決めまくるスキルコンボの波を浴びてもらいたい。
きっとキラキン推しでなくとも、彼たち4人のアピール特化には口元がにやける。
そしてそんなファンを見たキラキンもまた、汗だくになった顔でピカピカな笑顔を向けてくれる。
ファンをしあわせにしてくれるグループ。
ファンといっしょにしあわせになってくれるグループ。
それが、オバウェのキラキンだったから。
オバウェを終わらせたくないオタクが好き勝手書いた。
燃えた燃えた。ほんとうによく燃えた。
出会いは一年半くらい前のこと。
だらだらと流し見していたLINEの新着アカウントに白っぽい絵が見えて、美麗なイラストに惹かれ登録し調べて行った作品。
B-PROJECT。雪広うたこ先生の絵がほんとうに可愛くてかっこよくて。
と、過去に遡るとどうでもよい話を延々としてしまうので省略するとし、Bプロのファンになってから1年ちょい経った頃。
アプリ配信よりも前に飛び込んできた舞台化の発表。
元々2.5自体が好きな自分が飛び跳ねて喜ぶ反面、最早テンプレのようにブーイングが公式に届いて、そこで第一弾の炎がメラメラしていたのを覚えている。
アニメだから良い。舞台化なんてふざけんな。
そういった感情は最もだし、原作ファンの気持ちが萎えるのは至極当然だと思ってるから、というのと。
いくら文句を言ったって決まった企画はその発表の段階で誰が何を言ったって覆る訳がなく。舞台は舞台で楽しめば良いのでは?いやわたしはもう今から楽しみで楽しみで仕方ないですけどね!
なんて。毎日ひっそりと胸を鳴らしていた。
考えてみればあのときの批判は、アニメの中途半端な締め方に加え、いつまでも配信されないアプリ、伝わってこない続報、そのあたりに溜まったヘイトが加わったことによって火の勢いが増していたんだろうけども。
アプリね。アプリ。ほかのソシャゲいろいろ遊んできたゲームユーザーからすると(そうでなくたって)未だにちょっとそれどうなんだい運営さんよ?って感じる面が多々あるから、頑張って頂きたい……のはまた別の機会に話すとして。
縋るものが欲しかった。
浸かるものが、没頭する、「すき」と言える対象が欲しかった。
両足どころか胸元まで浸かっていた2.5次元の生ぬるい沼から這い出て背中を向けてから既に数年経っていて、何となく知り得る情報や昔愛でていたキャストたちの動向を友人のRTで見るのみになっていたしばらく。
人生の3分の2好きだと叫んできた某アイドルが解散し、同時にその事務所に抱いた殺意と不信感がどうしても抑えられなくて、正直もうアイドルなんて要らないやと思った。
2次元に癒しを求めた。逃げたんだな、と。うん、わたしは、逃げた。そのとき。確実に。
問題が表面に出てきてからは四方八方から投げられる言葉や情報がとにかく辛くて痛くて泣きたくて、解散する前も後も実際毎日泣き続けていて、もうとことん疲れて、ぐったりで、絶対なんて、確かなものなんて何も無いのだと思い知らされて。
逃げて楽になりたかった。
まったく違うものに触れたかった。
だけど結局はアイドル好きなオタク精神は簡単に曲げられないらしく、加えて2.5に全体力と有り金を捧げ続けた7年間の感覚が久しぶり!なんて手をあげて戻ってきたかのように再来した。
「これだけ大きな作品の舞台化なら一回で終わるなんてしないだろうし、きっと二回三回があるだろう」
と、言ってたね。
疑いもしなかったもの。絶対そうなるって、始まる前から考えていた。
ようやく縋るものができる。とことんすきだと叫べる対象ができる。またあの頃のようにすべてを捧げて通う舞台ができる。
宙ぶらりんな位置じゃなくて、わたしの立ち位置はここだよと宣言することができる。
だから、そう思っていたから、公式にポンポン放られる火の矢も特段気にしなかった。
そんなこと言ってさ、みんな始まったらキャーキャーするんでしょ?
たぶんわたしと同じことを考えていたひと、まだそのタイミングでは多かったのではないだろうか。
それからはもう、燃え続けた。
エゴサも嫌いだし、特定の人物の名前で検索を掛けてもそこに良いことなど落ちていないということは知っていた。
敢えて傷付くことはない。収まるのを待てばいいし、収まらないなら見なければいい。
比較的プライベートで付き合いのある友人としか繋がっていないツイッターでは、ほとんど火種の中心など回ってこない。
自分で探しに行かなかったこともあって、わたしが全容…とも呼べないであろういくつものソレを知ったのは、だいぶ後だった。
知った瞬間ですら、まだ、「あぁまたやってる」としか思わなかった。
可哀想にと、キャストはこうしていつも晒される運命なのね。炎上なんて珍しいことじゃない。日増しに落ち着く。少なくなる。どうにかなる。と。
いやぁ……甘かった。とんでもなかった。
落ち着く?少なくなる?どうにかなるって?
それどころかむしろ逆だ。
日増しにあたりは強くなる。キャストを殴る声は拡声器を使ったかのように大きくなり、粘っこくなり、どうにかなんてなっていなかった。
漏れなく罵詈雑言を浴びるキャスト。あれもこれもと掘り返され蒸し返され、言葉というある意味最大限の鋭利な武器で大勢に殴られ続ける。
あのとき、キャストの彼らはどんな気持ちだったのか。
過去に口にしてしまったことは変えられない。過去に起こしてしまったことも変えられない。
若かったとも、幼かったとも、詰めが甘かったねとも擁護はできるけれど、結果誰かの気持ちを逆なで、傷つけた代償は背負うべきだろう。
だけどそれを背負い、無かったことになんてできなくて、それでも頑張ろうとしたキャストを、板に立つ前から潰してしまおうとしていた言葉もまた、変えられない。
すきなものはすきで、きらいなものはきらい。
相容れないものはある。
どうしたってできないことがある。
舞台に立った14人を愛せたファンも居れば、やっぱりどうしたって許せずに、受け入れられなかった原作ファンだって居るから。
そういう相手に「すきになってよ!」と言えない。無理強いなんてできない。
でも、幕は上がった。
覆らない決定事項。これは仕事で、金銭が関わったビジネスで、今更中止になんてなる訳がない。だから、幕は上がった。
燃え続けていた火は消えることなく、燻って、とも言えないほど未だに高く火の粉を飛ばしていて。
売れないチケット、空いた席。充分な数、とアナウンスされた当日券。
キャストのツイッターにも同じように「当日券」の話があがる。
リストに入れた彼らのツイートを見て、思わずじわりと涙が滲んだ。見なければいいのに、その返信の中に手酷い言葉がたくさん混ざっているのを見付けた。
精一杯稽古した。役に近付こうとした。公演を観たファンなら気付いたであろう、アニメやアプリだけでなく、雑誌、インタビュー、CD。多方面で散りばめられた設定と情報を拾い集めなければ知り得なかった筈のキャラの性格、口調、関係性を、彼らはきちんと手のひらで掬い取っていた。抱えて必死に抱き込んでいた。
どこまでもB-PROJECTであろうと、キタコレ、THRIVE、MooNs、キラキンであろうとした彼らが、まばらに空いた席を見たとき、どう思ったのだろう。
毎日殴られて、蹴られて、嫌にならない人間なんて居ない。辛くない人間なんて居ない。
背負うべきだとは言ったけど、無かったことになんてできないけど、今の努力を認めず過去だけを持ち出すのも、なかなかに寂しいことだと思った。
しんどいんだよ。傷つけようとする言葉って。見るだけでしんどいのに、直接落とされたらどれだけ怖いか、辛いか。
とは言え。何度も繰り返してしつこいけれど、ダメなものはダメ。好きになれないなら仕方ない。合わなかったら、無理をしてまで観ることはないから。認められないのなら一生認めなくても良い。それは自由だ。だから、認めて、すきになって、愛したファンの気持ちも自由だ。みんながみんな、すべて共感できることなんて存在しない。
まぁ、燃え続けてボロボロになったソレは、アプリのときと同様に運営のあれやこれの所為でもあると奥歯ギリギリしたいんだけど、それもまた長くなるので端折るとして。
波は起きていなかった。
足を付けても何も感じない。自分で両足をばたつかせない限り、そこにはほぼ波なんて起きない場所だった。
チケットが取れない。と騒がれる2.5次元舞台が目立つ中、我らがB-PROJECTも違った意味で目立つ形になった。
チケットが売れない。できたらこんなことで騒がれたくはなかったが、ほんとうに売れなかったんだろうなぁ。
無料チケット云々のこともまた運営に殴り込みをしたいくらいなんだけども、それでリピーターになったファンがいるならばとポジティブに考えることにする。というかオバウェはいろいろとポジティブに思考変換しないと、きっと付いていけない。
事実、いまのところ続編は難しい。
結局はチケットの売れ行きが次を決める世界。グッズが売れなければ資金もできない。
大量に積まれた段ボール。有り余ったグッズ。
いやいやこれ奥にしまっておけよこっち側に見せるなよ現場スタッフ何してんのよ、と内心ツッコミを入れながらの物販列。
一階後方の空き、二階の空席。見上げて、すん、と鼻が鳴った。
ステージの上で踊る彼らはところどころが荒削りで、音響の悪さも相まって声が聞こえてこなくて、ダンスもばらばらで、歌も完璧とは程遠くて。
けど、でも。
何回も何回も、何十回何百回と聴いたんだと判る。
声が、喋り方が、頷くリズムが、名前を呼ぶキーが、笑うトーンが、キャラを通しているようだった。声帯借りてきたんじゃないかと錯覚するほどだった。
声優意識し過ぎだ気持ち悪い。そんな感想も見てしまったけど(ね、検索したってあんまり良いことないんだよ。※ブーメラン)B-PROJECTは、オバウェは、そこを完璧に貫いていた。
ステージ上では、公演中では絶対的に「自分」は存在しない。
色は出す。それでも、自分はB-PROJECTのメンバーの1人であり、元々の自分ではない。
随処に垣間見得たその一貫した約束みたいなものが、わたしは嬉しくて嬉しくて、すこし辛くて、ただ、感動した。
キャラを愛しているファンが、「◯◯くんはこんなことしない」と悲しむ要素を出来得る限り削り取っていた。
アドリブであろうと取れる場面ですら、「◯◯くんならこう言うはずだ」と変換できる。納得できる。
(ここから書き足し)
粗探しされそうなので補足しておくが、気力があれば個別に彼のココが良かったって話もくどくどしたい。歌と演技のこと、ダンスのこと、筋肉のこと、目線の動き、指先が辿る軌道、殺陣、褒め称えたい部分は個々それぞれにもっともっとたくさんある。
あーあー、こうした方が良かったのでは?なんてところも勿論。もはや消えかけてる記憶総動員して、少しずつ消化できたら。
(書き足し終わり)
日毎に増していたバッシングと、同じだった。
ちいさくて、とてもちいさくて、始まりで炭になりかけていたソレを掻き集めたキャストたちが、少しずつ、懸命に起こした波だった。
確実に、足に感覚がでてきた。わたしが両足をばたつかせて起こした波ではなく、じわじわとできた波だった。
千秋楽、カテコで泣いた彼を見て、また考えた。
いま、彼はどう思っているのだろう。
彼らはどう思っているのだろう。
辛かった、しんどかった、悲しかった、悔しかった。もう、辞めたいと思ったかも知れない。いっときでも、嫌いになったかも知れない。
それでも笑って、歌い踊って、彼らはB-PROJECTになってくれた。
拍手で迎えられたカーテンコール、彼らに映った景色は、その悲しい感情を払拭できるものだったろうかと。
そうであってほしいと。ニコ生で見つつ、またウルッとした。(涙腺がゆるい。歳には勝てない。)
その波はシアターからライブにしっかりと繋がった。
Liveとして魅せるために組み立てられたセトリ、演出、振り付け、自分を消して自分らしく纏ったキャラクターの色。
すべてがアイドルで、アーティストで、ファンを楽しませようと、喜ばせようと、全力のパフォーマンスをしようと弾ける14人だった。B-PROJECTはそこに居た。
ほんとはぜんぶぶちまけて、泣きたくても、自分は自分ではなく、自分の色を持ったB-PROJECTだからと、精一杯涙を耐えていた。
最初から最後まで、彼らはB-PROJECTだった。
カラフルな波が起きていた。上手に乗りこなすことはできなかったかもしれないけど、ビジネス的な面では100点の花丸を貰えないのだろうけど。
燃えまくった外枠を組み立て直し、ぐずつきかけた内側を必死に守り、萎えて凪いでいた波を頑張って起こしたのは14人それぞれの力だから。
もちろん、力強い社長と取締役、番組で関わったスタッフも、出演者も。
演出家、振付師、音響、スタッフ。これはヤバイぞと焦ってくれたことで起きた波の勢いもあっただろう。
そのどれもに匹敵する力なんて持てないけど、だけど、すきだと叫んでいきたい。
逃げ場所だった。縋りたかった。優しくして欲しかった。
生ぬるい波に浸かれると思った。流れるプールみたいに運んでもらえると甘く見ていた。
それがどうだ、なんならいつ停止するか判らない人工波だ。
事実、いまのところ続編は難しい。と書いたところに追記したい。
もし無人島に吹っ飛ばされるくらいの荒波を起こすことができれば、できていれば、それは変わる。
まだ遅くない。まだ決まってない。
全然売れていなかったチケットが少しずつ捌け始めた。ライブではトレブロが完売した(売り方はともかくね)。円盤の予約の列もたくさん増えた。
まだ遅くない。まだ間に合う。
円盤がどれだけ売れるか。そこが次の波を浴びることができるかどうか。
最終的にはそこだ。世知辛いね。とは言え金が無ければ企画は立てられないし、舞台はできない。
来年春のイベントがラストなんて嫌だ。
まだ諦めない。遅くなんてない。
偉い人に届けるのは張り上げた声だけじゃ足りない。だからオバウェを好きになった皆様、円盤を予約しましょう。予約数は偉い人に届く大きな声になる。発注数は明確な数字として記録される。
あのB-PROJECTが、14人がこれで終わりなんて勿体無い。
ダメなものはダメ。うん、そう言った。違いない。仕方ないよね。
でも敢えて言おう。でっかい声で。
行きたくても行けなかったファンにではなく、前評判や過去のあれこれだけでハナっから批判しかせず突っぱねていたファンに。
え!?
オバウェ観てないの!?
うわぁーーーそれは残念〜〜!!
(◯◯◯◯◯!!!!!)
最後のカッコはあれです、怒られたくないから伏字です。それくらいの気持ちだったよ、っていうね。許して。ほんとにほんとに良かったんだよ、オバウェ。
20年某事務所のアイドル見てきて、2.5次元にも浸かりまくってきて、次第に疲れてしんどくてどうでもいいや、どうせアイドルなんてとしょぼくれていたオタクが、鳥肌立って泣いて奥歯歯ぎしりさせながら先を願いたいと自分勝手なブログ書くくらいには、ほんとにほんとに、ほんとに、素敵なんだよ、オバウェ。